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最高裁判所第一小法廷 昭和29年(あ)515号 決定

主文

本件上告を棄却する。

当審における訴訟費用は被告人の負担とする。

理由

弁護人福田彊の上告趣意第一点は、違憲をいうが、その実質は、事実の認定並びに刑の量定を非難するに過ぎないものであり、同第二点は、単なる訴訟法違反の主張であって、いずれも、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。そして、控訴審が刑訴三九三条の規定により事実の取調をなし、同四〇〇条但書の規定により被告事件について更に判決をする場合において、裁判所は、検察官の請求があるときは、公訴事実の同一性を害しない限度において、訴因の変更を許さなければならないものであること同四〇四条、三一二条の規定により明白である。されば、右の場合に当る原判決には、所論の訴訟法違反は認められない。

よって同四一四条、三八六条一項三号、一八一条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 斎藤悠輔 裁判官 真野 毅 裁判官 岩松三郎 裁判官 入江俊郎)

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